経口挿入法と経鼻挿入法の違い

苦痛を抑える経鼻内視鏡検査のイメージ写真

胃カメラには、口から挿入する経口内視鏡検査、鼻から挿入する経鼻内視鏡検査があります。当院ではいずれの検査法でも、富士フイルムメディカル社製の細径内視鏡を使用して検査をします。なお、以前は通常径内視鏡と比較して細径内視鏡では画質や機能面が不十分との指摘もありましたが、近年のスコープは改良が進んでおり一部の治療(処置)に関する制約を除けば、検査精度はほぼ同様となっています。

経口挿入法と経鼻挿入法の大きな違いとして、「嘔吐反応の起こりやすさ」があります。経口挿入法の場合は、スコープが舌根部に触れやすいため、強い嘔吐反応が起こりやすい傾向があります。これに対し、経鼻挿入法ではスコープが舌根部に触れにくいため、経口挿入法と比較して嘔吐反応が起こりにくい傾向があります。そのために、挿入時の辛さ、のどの違和感なども、経鼻挿入法の場合はあまり気にならない方が多いです。さらに、経鼻挿入法ではマウスピースをくわえる必要がないので、検査中に医師と会話をすることも可能です。ただし、患者様によっては経鼻内視鏡を使用できないことがあります。例えば、鼻腔が狭い、鼻に違和感があるのが耐えられない、中耳炎や副鼻腔炎などで治療中である、という場合です。このような方は経口挿入法による検査となります。

経鼻内視鏡のメリット

  • 挿入時のつらさ(のどの違和感)が軽減されています
  • 経口内視鏡と比較して、舌根部にスコープが触れにくいので嘔吐反射が起こりにくいです
  • 検査中に担当医と会話することもできます
  • 鎮静剤を使用しない場合は、検査後に車の運転なども行えます(※)

など

患者様によって異なります。詳しくは、患者様に直接ご説明させていただきます。

経鼻内視鏡のデメリット

  • 左右ともに鼻腔が狭い方は行えません
  • 検査後に鼻出血することがありますが、止血薬の点鼻と用手圧迫でほとんどの場合が対処可能です
  • アレルギー性鼻炎や花粉症の方は鼻出血のほかに鼻腔の痛みが出やすい印象がありますが、局所麻酔薬の追加使用で対処できることが多いです
  • 中耳炎や副鼻腔炎で治療中の患者様には積極的にはお勧めできません。事前に耳鼻咽喉科主治医にご相談ください
  • より精度の高い検査(拡大内視鏡)が必要になったときは、あらためて高次医療機関にて経口挿入法による検査が必要になることがあります
  • 止血処置などの治療に制約があります

など

検査の流れ

検査前日の注意点
  • 検査前日の食事は午後8時までに済ませてください
  • 原則として食事内容に制限はありません(制限が必要なときは事前にご説明いたします)
  • 午後8時以降の食事は慎んでください(水やお茶の摂取は問題ありません)
検査当日の注意点(来院前)
  • 検査当日の朝は絶食となります
  • 経鼻内視鏡検査希望の場合は、水、お茶の摂取については制限ありません。牛乳や乳酸菌飲料、ミルク入りのコーヒーや紅茶の摂取は控えてください(何も入れないまたは砂糖のみは可)。経口内視鏡検査希望の場合は、夏場における熱中症予防のための最低限の摂取以外の水分摂取は控えてください。
  • 常用薬の服用の可否については、処方を受けているかかりつけ医にご相談ください。高血圧の薬は起床時に内服していただき、ほかの薬は必要に応じて検査終了後に内服していただくことが多いです。糖尿病の薬については、薬により対応が異なりますので、かかりつけ医等でお問い合わせください。
  • 鎮静剤を使用する検査を受けられる方は、ご自身の運転(車・バイク・自転車など)によるご来院は控えていただくか、お迎えをお願いしてください(帰りはご自身では運転できません)。
来院後の流れ(検査の準備)
来院後は、まず胃の中を観察しやすくするために消泡剤を服用します

経鼻内視鏡の場合

  • 鼻腔粘膜収縮薬の点鼻を行います
  • 鼻腔に内視鏡と同じ太さのチューブを通し、通過が可能であることの確認とゼリー状の局所麻酔薬で鼻腔及び咽頭粘膜の麻酔を行います

経口内視鏡の場合

  • 局所麻酔薬のスプレーにて咽頭麻酔を行い、マウスピースをくわえます
検査の開始
  • 検査台に横になります
  • 血管確保を行い、鎮静剤を投与します(希望者のみ)
  • チューブを抜いて、内視鏡を鼻から挿入します(経鼻内視鏡の場合)
  • マウスピースより、内視鏡を挿入します(経口内視鏡の場合)
  • 咽喉頭や食道、胃、十二指腸の粘膜を観察していきます
  • 経鼻内視鏡では、検査中医師や看護師と会話をすることが可能です(鎮静剤使用時を除く)
  • 検査時間は5~10分程度です(検査のみの場合)
  • 病変の疑いがある組織を発見したときは粘膜の採取(生検)を行うこともあります
検査の終了
  • 鎮静剤を使用した場合、検査の終了後は回復室でしばらくお休みいただきます(2時間程度)
  • 検査後、30分~1時間程度は飲食をお控えください(生検を行ったときは、医師の許可が出てから飲食してください)
  • 生検を行った場合は、検査後2~3日はアルコールや香辛料などの刺激物を控え、消化の良いものを召し上がるようにしてください
  • 鎮静剤使用時は、当日はご自身での運転(車・バイク・自転車など)をお控えください