- 2025年1月6日
- 2025年1月7日
胃ポリープ
胃ポリープとは
胃ポリープは、胃粘膜の異常な細胞増殖によって形成される隆起性病変を指します。ポリープの大部分は無害ですが、一部は悪性化のリスクがあり胃がんに進行する可能性があるため、適切な診断と管理が必要です。
胃ポリープの種類
胃ポリープには以下のような種類があります。
過形成性ポリープ | 慢性胃炎やピロリ菌感染に関連する。 サイズが大きい場合、出血や悪性化のリスクが増加。ピロリ菌除菌で縮小、消失することもある。 |
腺腫性ポリープ | 稀だが、悪性化の可能性が |
胃底腺ポリープ | 発生頻度が最も高い。ピロリ菌未感染の場合に多く見られる。胃酸分泌抑制薬(PPI)の長期使用者で多発、増大することがあり、減薬や休薬が必要になることがある。悪性化のリスクは低い。 |
その他のポリープ | 幽門腺ポリープ、炎症性ポリープなどがあり、それぞれ特徴が異なる。 |
胃ポリープの見た目
胃ポリープは内視鏡検査で以下のように観察されます。
- 表面が滑らかで赤みを帯びている(過形成性)
- 凹凸があり、境界が不明瞭(腺腫性)
- 小さく丸い形状で白っぽい表面(胃底腺ポリープ)
ポリープの見た目から性質をある程度推測できますが、最終的な診断には生検が必要です。
胃ポリープの原因
胃ポリープの形成には、以下のような消化器への負担が関与します。
- 胃酸の過剰分泌または低下
- 不規則な食事習慣(過食、早食い)
- 長期的な胃炎の存在
消化機能が乱れると胃粘膜の防御機構が弱まり、ポリープの形成リスクが高まります。
ストレスが与える影響
ストレスは自律神経を介して胃酸分泌を刺激し、粘膜へのダメージを増加させます。また、ストレスによる生活習慣の乱れが、胃ポリープ形成の間接的な原因となることがあります。
ピロリ菌との関係
ピロリ菌感染は、特に過形成性ポリープの発生に関連しています。除菌療法により、ポリープが縮小または消失するケースが確認されています。
- 慢性胃炎の誘発:ピロリ菌が胃粘膜を攻撃し、炎症を引き起こす。
- 粘膜細胞の増殖:炎症反応がポリープ形成を促進する。
- 悪性化のリスク:一部のポリープが腫瘍性に変化する可能性がある。
胃ポリープの症状
自覚症状
胃ポリープは多くの場合、無症状です。しかし、ポリープが大きい場合や数が多い場合、次のような症状が現れることがあります。
- 胃の不快感やもたれ
- 食欲低下
- 吐き気やげっぷ
医療機関でのチェック
胃ポリープは健康診断や定期的な内視鏡検査で偶然発見されることが多いです。症状がなくても、リスク因子がある場合は定期的な検査が推奨されます。
他の疾患との違い
胃潰瘍や胃がんと異なり、胃ポリープは粘膜の隆起性病変として認識されます。内視鏡検査や生検によって確実に鑑別できます。
胃ポリープのリスク
胃ポリープには悪性化のリスクがあります。
- 過形成性ポリープ:リスクは低いが大型のものでは悪性化の可能性がある。
- 腺腫性ポリープ:悪性化リスクがあり内視鏡的切除が推奨される。
- 胃底腺ポリープ:悪性化リスクが低い。
がんになる確率
腺腫性ポリープが悪性化する確率は10~15%程度とされています。内視鏡的切除または定期的なフォローアップが重要です。
多発のケース
多発性ポリープは遺伝的要因や胃全体の炎症状態と関連があります。特に家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)は、がん化リスクが高いため注意が必要です。
胃ポリープの治療方法
内視鏡手術
内視鏡下でのポリープ切除は、安全で侵襲が少ない治療法です。以下の手法があります。
- スネア切除:ワイヤーループでポリープを切除。
- 高周波電流切除:高周波でポリープを焼き切る。
切除の方法
ポリープの大きさや形状に応じて適切な切除法が選択されます。リスクが高い腺腫性ポリープや悪性の疑いがある場合には必須です。
経過観察の重要性
小型でリスクが低いポリープは経過観察が推奨されます。内視鏡検査を定期的に受けることで、リスク変化を早期に察知できます。
胃ポリープは多くの場合は無害ですが、特定の種類や大きさによっては悪性化のリスクがあるため注意が必要となります。定期的な内視鏡検査と健康的な生活習慣の維持による、胃ポリープの予防と管理が重要です。