- 2025年9月24日
【医師が解説】糖尿病と診断された方へ。
合併症を防ぎ「豊かな人生」を送るための最新治療とセルフケア

ブログをご覧いただきありがとうございます。
きなが内科・内視鏡クリニック院長の木長健です。
「糖尿病と診断されて、食事制限や合併症など、将来に対する不安な気持ちでいっぱいではありませんか?」
まず、私たちが最もお伝えしたいのは、糖尿病治療の目標は「糖尿病のない人と変わらない寿命と生活の質(Quality of Life)を確保すること」です。
病気について正しく理解し、ご自身に合った治療とセルフケアを専門家と共に行うことで、その目標は十分に達成可能です。この記事では、糖尿病の正しい知識から、合併症を防ぐための大切な考え方、そして当院が提供する先進的な治療まで、分かりやすく解説します。
あなたの糖尿病はどのタイプ?日本の9割以上を占める「2型糖尿病」

ひとくちに「糖尿病」と言っても、いくつかのタイプがあります。
2型糖尿病
インスリンが出にくくなる、または効きにくくなる「遺伝的な体質」に、肥満や運動不足、ストレスといった「生活習慣」が加わって発症します。日本の糖尿病患者様の9割以上がこのタイプです。初期は自覚症状がほとんどないのが特徴です。
1型糖尿病
生活習慣とは関係なく、自己免疫など何らかの原因で、インスリンを作るすい臓の細胞が壊されてしまう病気です。インスリンを体内で作れないため、インスリン注射による治療が不可欠です。
糖尿病の本当の怖さは「合併症」にあり
糖尿病は、単に血糖値が高いだけの病気ではありません。高血糖が続くことで全身の血管が静かに傷ついていく「血管の病気」であり、その結果として起こる合併症こそが、生活の質を大きく損なう原因となります。
特に細い血管がやられる三大合併症

自覚症状がないまま進行し、気づいた時には手遅れになることも少なくありません。
- 目(網膜症): 目の奥の細い血管が傷つき、成人の失明原因の第一位となっています。
- 腎臓(腎症): 腎臓のフィルター機能が壊れ、人工透析が必要になる原因の第一位です。
- 神経(神経障害): 手足のしびれや痛み、感覚麻痺、立ちくらみなど、様々な不調が現れます。
太い血管がやられる動脈硬化
高血糖は、太い血管の動脈硬化も急速に進行させ、命に関わる病気のリスクを急増させます。
- 心臓: 狭心症、心筋梗塞
- 脳: 脳梗塞
- 足: 閉塞性動脈硬化症(足の血流が悪くなり、最悪の場合、壊死することも)
これらの合併症は、糖尿病と診断される前の「予備軍」の段階からすでに進行が始まっていることが分かっており、早期からの対策が非常に重要です。
なぜ生活習慣の改善が不可欠なのか?〜薬だけでは不十分な理由〜

「お薬を飲んでいれば、食事は気にしなくても大丈夫?」と思われるかもしれませんが、それは大きな誤解です。
高血糖が続くと、その状態自体がすい臓の働きを悪くしてしまいます(糖毒性)。お薬で血糖値を下げることは、この「糖毒性」を解除するために非常に重要です。
しかし、過食や運動不足による根本的な問題、つまり内臓脂肪や、肝臓・筋肉など本来あるべきでない場所に溜まった脂肪(異所性脂肪)が残っていると、そこからインスリンの効きを悪くする物質が出続けてしまいます(脂肪毒性)。
お薬で「糖毒性」を取り除きつつ、食事療法や運動療法で「脂肪毒性」を改善する。この両輪があって初めて、糖尿病の進行を食い止め、合併症を予防することができるのです。
きなが内科・内視鏡クリニックが提供する先進的な治療

糖尿病との付き合いは長期にわたりますが、決して一人で闘う病気ではありません。正しい知識を持ち、信頼できるパートナーと共に歩むことで、病気のない人と変わらない、豊かで充実した人生を送ることが可能です。どんな些細な不安や疑問でも構いません。私たちと一緒に、未来の健康への第一歩を踏み出しましょう。