- 2025年8月8日
従業員50人以上の企業必見!産業医選任義務の基礎知識と対応策

神戸市灘区の企業の皆様、こんにちは。
きなが王子公園内科・内視鏡クリニック院長の木長 健です。
「産業医」という言葉を聞いたことはありますか?従業員の健康管理に関わる重要な役割を持つ産業医ですが、特に従業員が50人以上の企業では、その選任が法律で義務付けられていることをご存じでしょうか。今回は、産業医選任義務の基礎知識と、企業がどのように対応すべきかについて詳しく解説します。
なぜ産業医の選任が必要なの?

産業医は、職場における労働者の健康を専門的な立場から守る医師です。従業員の健康管理を効果的に行うためには、医学的な専門知識が不可欠であるため、労働安全衛生法により、一定規模以上の事業場に産業医の選任が義務付けられています。
産業医を選任することで、企業には以下のようなメリットがあります。
- 労働者の健康管理に役立つ: 健康診断の結果に基づいた指導や、メンタルヘルス不調者への対応など、専門的な視点から従業員の健康をサポートします。
- 職場の健康意識が向上する: 衛生教育などを通じて、従業員一人ひとりの健康への意識が高まります。
- 作業環境の改善に繋がる: 職場における作業環境の管理について専門的な助言が得られ、より安全で快適な職場環境づくりに貢献します。
- 健康で活力ある職場づくり: 結果として、従業員が健康で安心して働ける環境が整備され、企業の生産性向上にも繋がります。
従業員50人以上で義務発生!産業医選任の基本
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医の選任が義務付けられています。この「常時使用する労働者」には、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトなども一定の条件を満たせば含まれるため、注意が必要です。
選任のタイミング
従業員が50人以上に達した日から14日以内に産業医を選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。欠員が出た場合も同様に14日以内の選任と届出が義務です。
産業医の人数
従業員の数に応じて、選任する産業医の人数が変わります。
- 労働者数50人以上3,000人以下の事業場: 1名以上の産業医を選任
- 労働者数3,001人以上の事業場: 2名以上の産業医を選任
嘱託産業医と専属産業医
産業医の選任形態には、「嘱託産業医」と「専属産業医」の2種類があります。
- 嘱託産業医:
- 常時50人以上999人以下の労働者を使用する事業場で選任されます。
- 非常勤で、月に数回など定期的に事業場を訪問し、健康管理業務を行います。当クリニックの院長は、嘱託産業医としての業務も行っています。
- 専属産業医:
- 以下のいずれかに該当する事業場で選任義務があります。
- 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
- 特定の有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場(例:高熱・低温物体取扱い、有害放射線、粉じん作業、深夜業など)
- 事業場に常勤し、産業医の業務に専従します。
- 以下のいずれかに該当する事業場で選任義務があります。
産業医の重要な職務内容

産業医は、企業の規模や業種、労働者の状況に応じて多岐にわたる職務を遂行します。主な職務は以下の「4管理1教育」に分類されます。
- 健康管理:
- 健康診断の実施と結果に基づく措置: 従業員の健康診断結果を確認し、異常が認められた場合は面接指導を行い、就業上の配慮など必要な措置を事業者に勧告します。
- 過重労働者への面接指導: 長時間労働による健康リスクが高い従業員に対し、面接指導を行います。
- メンタルヘルス対策: ストレスチェックの結果に基づく面接指導や、精神的な不調を抱える従業員への相談・指導、職場復帰支援などを行います。
- 疾病者の就業判定: 病気を抱える従業員が安全に働けるか、どのような配慮が必要かを医学的な観点から判断します。
- 作業管理: 労働者の作業方法や作業量、姿勢などが健康に影響しないよう管理します。
- 作業環境管理: 職場内の有害物質や騒音、温度などの作業環境が適切に保たれているかを確認し、改善の助言を行います。
- 労働衛生教育: 従業員に対して、健康に関する知識や病気の予防に関する教育を行います。
- 総括管理: 上記の健康管理、作業管理、作業環境管理、労働衛生教育全体を統括し、職場の健康リスクを総合的に評価します。
産業医は、これらの職務を通じて、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告を行う権限を持っています。また、少なくとも毎月1回は作業場を巡視し、作業方法や衛生状態に問題がないかを確認する義務があります。
どんな医師が産業医になれるの?
産業医になるためには、医師免許を持っていることに加え、労働者の健康管理に必要な医学的な知識を有していることが条件となります。具体的には、厚生労働大臣が指定する研修を修了したり、産業医養成課程のある大学を卒業したりするなど、いくつかの要件があります。当クリニック院長である私は、産業医科大学を卒業するとともに、労働衛生コンサルタント(保健衛生)、日本医師会認定産業医の資格を有しています。
従業員50人未満の企業でも対策は必要
「うちの会社は50人未満だから義務はない」と思われるかもしれません。しかし、従業員が50人未満の事業場でも、労働者の健康管理に必要な医学的知識を有する医師等に、健康管理の全部または一部を行わせるよう努めることが法律で定められています。
従業員の健康は、企業の生産性や持続的な成長に直結する重要な経営資源です。人数に関わらず、積極的に健康経営に取り組むことが求められる時代です。
きなが王子公園内科・内視鏡クリニックができること

きなが王子公園内科・内視鏡クリニックは、消化器内科・内視鏡専門クリニックとしてだけでなく、産業医としての経験も豊富です。院長である私は、長年労働衛生機関や多くの事業所で嘱託産業医として勤務し、企業の健康管理をサポートしてきました。
当クリニックでは、企業の皆様のニーズに合わせて、以下のようなサポートを提供できます。
- 嘱託産業医としての契約: 従業員50人以上の企業様向けに、労働安全衛生法に基づく産業医業務を承ります。長時間時間外勤務者面談や高ストレス者面談にも対応可能です。
- 健康診断・人間ドックの実施: 労働安全衛生法で定められた雇用時健康診断や定期健康診断をはじめ、神戸市の特定健診、各種がん検診、そしてより詳しい項目を選べる自費人間ドックまで、企業の皆様の健康診断ニーズに幅広く対応いたします。
- 健康相談・指導: 従業員の皆様からの健康に関する相談に応じ、適切なアドバイスや医療機関への紹介を行います。
- 健康経営へのアドバイス: 企業の皆様が健康経営を推進するための具体的な施策について、専門的な視点から助言させていただきます。
従業員の健康は企業の未来を支える大切な柱です。産業医選任の義務がある企業様はもちろん、従業員の健康管理に課題を感じている企業様は、ぜひ一度きなが王子公園内科・内視鏡クリニックにご相談ください。
お問い合わせはこちらから
(診察はWEB予約も可能です。産業医についてはお電話にてお問い合わせください。)