- 2025年2月28日
冬場に増える加湿器肺炎とは

冬の乾燥対策として多くの家庭で使用される加湿器。しかし、その加湿器が原因で発症する「加湿器肺炎」をご存じでしょうか?加湿器肺炎は、適切な管理を行わないと健康被害を引き起こし、重症化すると入院が必要になるケースもあります。今回は、加湿器肺炎の原因、症状、予防策をご説明いたします。
1. 加湿器肺炎とは?
加湿器肺炎(通称:加湿器肺)は、加湿器を使用することで発生する「過敏性肺炎」の一種です。加湿器内部で繁殖したカビや細菌を含む微粒子を吸い込むことが原因となり、肺に炎症を引き起こします。
- 主にアレルギー性肺炎の一種として分類される。
- 風邪に似た症状(咳・発熱・息切れなど)が現れるが、抗生物質が効かない。
- 重症化すると呼吸不全を引き起こし、入院が必要になることもある。
2. 冬場に増える理由
加湿器肺炎は特に冬場に増加します。その背景にはいくつかの要因があります。
- 冬は乾燥しやすく、加湿器の使用が増える。
- 室内の換気が不十分になりがちで、カビや細菌が繁殖しやすい。
- 加湿器のメンテナンス不足で、タンクやフィルター内にカビが発生しやすい。
- 水を継ぎ足して使用することで、雑菌が増殖するリスクが高まる。
3. 加湿器肺炎の症状

加湿器肺炎の症状は風邪やインフルエンザと似ているため、見分けるのが難しいことがあります。以下のような症状が出た場合、加湿器肺炎を疑いましょう。症状が進行すると、肺の炎症が拡大し、慢性化する可能性があります。
- 咳(乾いた咳が特徴的)
- 発熱(38℃前後の微熱が続くことが多い)
- 息苦しさ(軽度から重度まで様々)
- 倦怠感(全身のだるさが長期間続く)
- 胸の違和感(痛みや圧迫感を感じることもある)
4. 加湿器肺炎の原因

加湿器肺炎の原因となるのは、加湿器内部で発生したカビや細菌です。
- 加湿器内の水を頻繁に交換しないと、カビや細菌が増殖する。
- ミネラルウォーターや浄水器の水を使用すると、塩素が少なくカビが繁殖しやすい。
- 超音波式加湿器は水を加熱しないため、雑菌を直接空気中に放出してしまうリスクがある。
- 定期的に掃除しないと、タンクやフィルターに雑菌が蓄積する。
5. 加湿器肺炎の診断と治療
加湿器肺炎が疑われる場合、病院では以下の方法で診断されます。
- 問診(加湿器の使用状況、症状の経過を確認)
- 画像検査(胸部X線、CTスキャンで肺の炎症を確認)
- 血液検査(アレルギー反応の有無を調査)
治療方法は以下の通りです。
- 加湿器の使用を中止する。
- 症状が軽ければ、自然に回復することもある。
- 重症の場合、ステロイド治療や酸素療法が必要になる。
6. 加湿器肺炎の予防策

加湿器肺炎を防ぐには、適切な管理が不可欠です。
- 水は毎日交換し、継ぎ足しはしない。
- 使用する水は水道水のみ。ミネラルウォーターや浄水器の水は使用しない。
- タンクやフィルターを週に1回は洗浄する。
- スチーム式加湿器を選ぶと、加熱による殺菌効果が期待できる。
- 室内の換気をこまめに行い、カビや細菌の増殖を防ぐ。
加湿器肺炎はアレルギー性肺炎の一種であり、加湿器内部に繁殖したカビや細菌が原因で発症します。冬場は加湿器の使用頻度が高まり、室内換気が不十分になるため、この病気の発症件数が増加する傾向にあります。症状は風邪と似ていますが、抗生物質が効果を示さず、重症化すると呼吸困難を引き起こす恐れがあります。診断には問診や画像検査、血液検査が用いられ、治療としては加湿器の使用中止やステロイド治療が行われます。また、予防のためには適切な水を使用し、定期的な清掃を実施するとともに、スチーム式加湿器の採用が推奨されるため、加湿器の適切な管理を徹底し安全に冬を過ごすことが大切です。なお、冬場に増加する加湿器肺炎の症状についても十分に注意する必要があります。