- 2025年5月12日
放置しないで!血便・鮮血の裏に潜む大腸がんリスクと大腸カメラの重要性

「あれっ?便に血が…」 トイレで便に血が混じっていたり、トイレットペーパーに鮮やかな赤い血(鮮血)が付着していたりすると、ドキッとしますよね。
「きっと痔だろう」「ちょっと切れただけかな」 そう考えて、様子を見てしまう方も多いのではないでしょうか? 確かに、血便や鮮血の原因として最も多いのは痔(いぼ痔や切れ痔)です。しかし、その自己判断が、実は大きなリスクを招く可能性があることをご存知でしょうか?
血便や鮮血は、体からの重要なSOSサインかもしれません。その裏には、見過ごしてはいけない「大腸がん」のリスクが隠れている可能性があるのです。
この記事では、血便・鮮血を放置することの危険性、大腸がんとの関係、そして早期発見に不可欠な「大腸カメラ」の重要性について、詳しく解説していきます。
血便・鮮血とは? なぜ起こるの?
まず、「血便」とは、便に血液が混じった状態全般を指します。便全体が赤黒かったり、表面にドロッとした血が付着していたり、あるいは目に見えないほど微量な血液(便潜血)が含まれていたりする場合もあります。
一方、「鮮血」便は、文字通り鮮やかな赤い血が便に付着したり、排便時にポタポタ垂れたりする状態を指します。これは、出血箇所が肛門に近いことを示唆しています。
【鮮血便の主な原因】
- 痔(いぼ痔・切れ痔): 排便時のいきみや硬い便によって肛門付近が傷ついたり、血管がうっ血したりして出血します。いぼ痔(内痔核)では痛みがないことも多く、切れ痔では痛みを伴うことが一般的です。
- 大腸の病気: 直腸ポリープや大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)、虚血性大腸炎、感染性腸炎などでも、鮮血便が見られることがあります。
自己判断は危険!血便・鮮血と「大腸がん」の関係

「鮮血だから痔だろう」と安易に考えるのは非常に危険です。なぜなら、大腸がん(特に肛門に近い直腸がん)の症状と痔の症状は、非常によく似ているからです。
- 初期の大腸がんは自覚症状がほとんどないことが多い。
- がんが進行すると、便ががんの表面を擦ることで出血し、血便や鮮血が見られるようになる。
- 便秘や下痢を繰り返す、便が細くなる、残便感があるといった症状も、大腸がんと痔に共通して見られることがある。
実際に、「痔だと思っていたら、検査をしたら大腸がんが見つかった」というケースは少なくありません。また、痔と大腸がんを併発している可能性もあります。
近年、食生活の欧米化などの影響で、日本でも大腸がんにかかる人が増えています。年間5万人以上の方が大腸がんで亡くなっているという現状もあります。しかし、大腸がんは早期に発見すれば、内視鏡治療などで完治できる可能性が高いがんでもあります。だからこそ、血便・鮮血というサインを見逃さず、原因を正確に突き止めることが非常に重要なのです。
なぜ「大腸カメラ検査」が重要なのか?

血便や鮮血の原因を正確に診断し、大腸がんを見逃さないために最も有効な検査が「大腸カメラ(大腸内視鏡検査)」です。
【大腸カメラ検査のメリット】
- 大腸全体を直接観察できる: カメラを通して、医師が直接大腸の粘膜の状態を確認できます。痔だけでなく、ポリープ、がん、炎症など、出血の原因となっている可能性のある病変を正確に診断できます。
- 早期がんやポリープを発見できる: 自覚症状がない段階の小さなポリープや早期の大腸がんを発見することが可能です。
- 検査と同時に治療(ポリープ切除)が可能: がん化する可能性のあるポリープが見つかった場合、その場で切除することができます。これにより、将来の大腸がん予防に繋がります。
- 安心を得られる: 検査を受けて異常がないことを確認できれば、「がんかもしれない」という不安から解放されます。
「大腸カメラって痛いんでしょ?」「検査が怖い…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最近では鎮静剤(麻酔)を使用して、ウトウトと眠っているようなリラックスした状態で検査を受けられる医療機関が増えています。「痛みのない・苦しくない検査」を提供しているクリニックも多くありますので、過度に心配する必要はありません。
血便・鮮血が出たらどうするべき?

もし血便や鮮血に気づいたら、以下のことを心がけてください。
- 慌てずに症状を確認する: 血の色(鮮血か、赤黒いか)、量(少量か、多いか)、便との混じり具合(表面に付着か、全体に混ざるか)、痛み(腹痛、お尻の痛み)の有無、頻度(1回だけか、続いているか)などを記録しておきましょう。
- 自己判断しない: 「痔だろう」「すぐ治るだろう」と決めつけず、放置しないでください。
- 早めに専門医を受診する: 消化器内科、胃腸科、肛門科などを受診し、確認した症状を正確に伝えましょう。既往歴や服用中の薬についても伝えることが大切です。
- 緊急性の高い症状に注意: 血便に加え、以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- めまい、ふらつき、冷や汗
- 脈が速い、意識が朦朧とする
- 我慢できないほどの激しい腹痛
- レバーのような血の塊が大量に出る
あなたと大切な人のために、勇気を出して一歩を

血便や鮮血は、決して無視してはいけない体からの重要なメッセージです。「痔だろう」という安易な自己判断は、大腸がんなどの重大な病気の発見を遅らせてしまう可能性があります。
大腸がんは、早期発見・早期治療が非常に重要ながんです。そして、そのための最も確実な方法が大腸カメラ検査です。検査への不安もあるかもしれませんが、あなた自身の健康と未来を守るための大切なステップです。
血便や鮮血に気づいたら、決して放置せず、勇気を出して専門医に相談してください。それが、あなた自身と、あなたを大切に思う人たちのための、賢明な選択となるはずです。