- 2024年12月10日
胃カメラ検査を受けた方がいい人とは?
胃カメラ検査は、胃の中を直接観察することで、早期の病気発見や正確な診断を可能にする検査です。以下に当てはまる方は早めに検査を検討しましょう。
- 慢性的な胃の不調を抱えている方:食後の胃もたれや胸やけ、吐き気が続く場合は要注意です。
- 特定の症状がある方:体重減少、食欲不振、黒い便などの症状がある場合、重大な疾患のサインかもしれません。
- リスクが高い方:胃がんの家族歴がある場合やピロリ菌陽性と診断された場合、予防的な検査が重要です。ピロリ菌を除菌することで胃がんのリスクは1/2~1/3に下がると考えられていますが、それでもピロリ菌に感染したことがない人と比べると胃がんのリスクは高いので、定期的な検査が必要です。
胃カメラ検査を受けるべき年齢とは?
30代以降は、胃に負担がかかるライフスタイルや食生活が積み重なり、胃の疾患リスクが高まります。特に40代以上は胃がんの発症率が増加するため、1〜2年に1回の定期検査を受けることをオススメいたします。
- 30代:ストレスや不規則な生活で胃炎や潰瘍が増える世代。胃がんは少ないが、スキルス胃がんがあり、その場合は進行が早く命にかかわる危険性が高い。
- 40代:胃がんや慢性胃炎(萎縮性胃炎)の初期症状が見られることが多い。胃がんが少しずつ増えるが、まだ少ない。神戸市を含む多くの自治体による胃X線による胃がん検診の対象年齢です。
- 50代以上:年齢による胃の老化やがんのリスクが高まる。胃がんの好発年齢。神戸市を含む多くの自治体による胃がん内視鏡検診の対象年齢です。
30代、40代、50代の受けるべき理由
30代に多い病気と胃カメラの関係
30代は、仕事や家庭のストレスが原因で胃炎や逆流性食道炎が発生しやすい時期です。また、不規則な食生活やアルコールの過剰摂取もリスクを高めます。胃の負担を減らし、定期的な検査で未然に問題を防ぎましょう。
40代で注意が必要な症状
40代以降では、ピロリ菌感染が原因で胃がんリスクが上がります。また、食べ物が飲み込みにくい場合や、胃のむかつきが続く場合は、早めに医師に相談してください。
50代以上のリスクと早期発見の重要性
50代以上では、胃がんや消化性潰瘍の発症が顕著です。症状がない場合でも、定期的に検査を受けることで早期発見・早期治療が可能になります。
どんな症状がある時に受けるべきか?
以下のような症状が見られた場合は、胃カメラ検査が必要です。
- 長期間続く胸やけや胃痛。
- 食欲の低下や体重減少。
- 吐血や黒い便(消化管出血の可能性)。
胃カメラの検査方法
経口挿入法と経鼻挿入法の選択
以前は経口挿入では通常径の内視鏡、経鼻挿入では細径の内視鏡を使用することがほとんどでしたが、近年では細径内視鏡の画質が飛躍的に向上しており、精密検査(拡大観察)や治療(止血、粘膜切除)目的ではない通常の胃カメラ検査では、細径内視鏡で十分に対応可能だと考えております。当院でも、経口挿入の場合も経鼻挿入の場合も細径内視鏡を使用しております。当院では富士フィルムメディカル社のLED光源搭載内視鏡システムを導入しており、非常に鮮明な画像で観察をすることが可能です。
経口挿入法
カメラを口から挿入する方法です。咽頭に麻酔をスプレーするだけで検査ができるために準備にかかる時間と手間は少ない。挿入時に内視鏡が舌根部に触れやすいため、嘔吐反射が起こりやすい。当院では、挿入時に舌根部に内視鏡が当たりにくいマウスピース(トップ社製エンドリーダー)を使用しています。
経鼻挿入法
カメラを鼻から挿入する方法です。挿入時に内視鏡が舌根に触れにくいため、嘔吐反射が起こりにくい。検査中に会話が可能。鼻腔が狭いと、鼻に痛みが生じたり鼻出血を起こしたりすることがあり、内視鏡が挿入できない場合がある(その場合は経口挿入に変更します)。痛みは局所麻酔薬の追加使用、出血は血管収縮薬の使用と鼻翼圧迫でほとんどのケースは対応可能。総じて、経口挿入法に比べて受診者の負担が少ないと考えるが、鼻腔の収縮や麻酔に時間と手間がかかるため、検査の準備の時間は経口挿入法と比較して長くなり、経口挿入法で苦にならない人にとっては時間と手間を無駄に感じます。
内視鏡検査と胃X線(バリウム)検査の違い
一番わかりやすいたとえは、写真と影絵の違いだと考えております。
- 内視鏡は胃の内部を直接観察でき、粘膜面の変化だけではなく色調変化も観察することが可能です。粘膜の一部を採取して検査(病理診断)することも可能です。
- バリウムは放射線を使用して胃の形状や異常をスクリーニングします。全体像の把握は内視鏡よりも得意ですが、粘膜面の詳細な診断は内視鏡と比較すると難しいです。
検査の所要時間とその流れ
胃カメラ検査は準備から終了まで約30分程度ですが、検査時間は5~10分程度です。検査の前に絶食が必要で、鎮静剤を使用していなければすぐに帰ることも可能です。胃X線検査と違って、検査後の下剤の内服は必要ありません。鎮静剤を使用した場合は、検査後1~2時間ほどお休みいただきます。
胃カメラ検査のメリットとデメリット
早期発見のメリット
胃カメラは、胃がんやポリープなどの早期発見に最適な検査方法です。早期発見は治療の成功率を大幅に向上させます。また、内視鏡治療(粘膜切除術)で治療が終了した場合には、外科手術(胃切除術)と比較して生活の質(QOL=Quality of life:クオリティ オブ ライフ)にもほとんど影響はありません。
痛みや不快感のリスク
検査中に嘔吐反射や喉の痛みを感じる人もいますが、局所麻酔薬を使用することで多くの人が許容できる範囲で検査を受けられるようになっています。
検査による精神的負担
検査に対する不安がある場合、事前に医師や看護師に相談して安心感を得ることが大切です。鎮静剤の使用も、不安の軽減に有効です。
受診のタイミングとコツ
健康診断での検査の提案
健康診断で異常が見られた場合は、胃カメラで詳しく調べることを提案される場合があります。見逃しや手遅れになることを防ぐために積極的に受けましょう。
医師との相談の重要性
症状が軽微な場合でも、医師に相談しておくことで適切なタイミングで検査を受けられます。気になることがあれば事前に医師に相談するようにしてください。
検査前に気をつけること
検査の前日(当院では21時)から絶食し、飲み物も医師の指示に従う必要があります。また、服用中の薬がある場合は当院やかかりつけ医で事前に確認してください。当院での原則は以下の通りですが、詳しくはお気軽にご相談ください。
- 高血圧:当日の朝の内服は、起床時に少量の水で内服していただきます。
- 糖尿病:当日朝の内服はキャンセルしていただきます。昼の内服から再開します。
- 抗凝固薬(血液サラサラ):観察のみであれば中止の必要はありません。どのような薬を何種類飲んでいるか、一時中止をすることが可能な状態かを含めて中止の判断を検討します。
自己判断で中止せずに、必ず事前にご相談ください。
医療機関の選び方
クリニックと病院の違い
内視鏡検査を受ける際にクリニックと病院の違いについては以下のようなものがあります。
- クリニック:手軽に予約が取れ、通いやすい。
- 病院:より高度な診断機器や専門的な診療が可能です。
保険適用や自費について
検査目的や症状に応じて、保険が適用される場合と自費負担になる場合があります。事前に確認することで予期せぬ費用を防ぐことができます。
神戸市灘区で内視鏡検査をご希望の方へ
院では、胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査を専門的に行っています。当院の院長は以下の資格を有しており、高い専門性を持って診療にあたっています。
- 日本消化器内視鏡学会 上部消化管内視鏡・大腸内視鏡スクリーニング認定医
- 人間ドック健診専門医・指導医
胃の不調や消化器の症状にお悩みの方、健康診断で異常が見つかった方は、お気軽に当院までご相談ください。早期発見・早期治療をお手伝いいたします。
神戸市灘区で内視鏡検査をご希望ならぜひ当院にご来院ください。きなが内科・内視鏡クリニックは、阪急神戸線王子公園駅東口徒歩3分です。